「年を重ねる」「老い」とは、実際どういう体験なのでしょう?
こんにちは。
ウィズコロナ/アフターコロナの時代の生き方を研究する、
【生き方カウンセリング+コーチング】、
そして【高齢者向け宅配弁当配達】のパラレルワークもしている、立野博一です。
無料メルマガ【新ライフ・チェンジ通信】最新号から、ご紹介します。
今日は、80代の男性が新人スパイになるという、
とてもユニークなドキュメンタリー映画「83歳のやさしいスパイ」と、
「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」佐藤眞一著をつなげて、
ご紹介したいです!
↓ ぜひ、文末までお読み下さい ↓
ドキュメンタリーでありファンタジーのようでもある、映画「83歳のやさしいスパイ」
「80歳から90歳の退職者求む。
長期出張が可能で電子機器を扱える方」という、
不思議な新聞広告が掲載されると、
老人男性達が続々と探偵事務所に面接に訪れた。
そこで選ばれたのは、
4ケ月前に妻を亡くしたばかりの83歳の男性セルヒオさん。
そして新人スパイとして課せられたミッションはーー
「老人ホームへの潜入捜査」だった!
スマホにも不慣れなセルヒオさんが、
万年筆に内蔵した超小型カメラや、
Eメールや動画撮影と悪戦苦闘しながら、
老人ホームでの調査をスタートするのです。
この映画で何と言っても驚かされるポイントはーー
これがドキュメンタリー映画であり、
セルヒオさんも、その娘ダラルさんも、
そして老人ホームに入居している高齢者の皆さんも、
全て実際の人物であることでしょう!
マイテ・アルベルディ監督は老人ホーム側の許可を得て、
3ケ月300時間も撮影を継続し、
高齢者の皆さんやホーム職員の自然な表情や振る舞いを撮影することに、
成功しています。
例えば、認知症が進行して、
自分の母親がホームから「出してくれる」と信じ込んでいる、
マルタというお婆さん。
あるいは、記憶障害が進行して、
自分の体験が徐々に記憶から消えつつある、
ルビラというお婆さん。
私=立野も、パラレルワークで高齢者向け宅配弁当配達していて、
毎日数十名のお年寄りと接しているのですが、、、
映画の中の高齢者達とほとんど変わらない表情や行動、語り口に、
私としても既視感(デ・ジャブ)を感じないではいられないのです。
そんなドキュメンタリー映画である所が、
この「83歳のやさしいスパイ」の強いインパクトを持つ部分と、
私は思います。
とはいえ、
老人ホーム(南米チリの聖フランシスコ特養ホーム)を写した画像は、
デザインとしてかなりカワイイのです。
そしてキリスト教系の老人ホームであるので、
キリスト像やマリア像とカラフルな花の映像も、
何度も挿入されたり。
単純にドキュメンタリー、ではない。
ドキュメンタリーであると同時にファンタジーのようでもあることで、
より深い人間の真実を掘り下げようとしている。
ここも、この映画「83歳のやさしいスパイ」の、
興味深い所です。
↓ 映画「83歳のやさしいスパイ」、とても感動する映画ですから、ぜひ劇場でご覧下さいね↓
ウ〜ム〜😊
そして、映画「83歳のやさしいスパイ」の伝えたい、
人間の深い真実とは、、、
おそらく、、、
高齢者や認知症の方々ならではの「孤独」、
でしょう。
「泣きたいときは
泣いていいんですよ。心が落ち着きます。」
ーーと、セルヒオさんは、
家族が長い間面会に来てないルビラさんと、
向かい合い、語りかけたのでした(涙)。
「老いのプロセス」ならではの「孤独感」とは
「孤独」と言っても、
さまざまな「孤独」があるでしょう。
「理想のパートナーを求めているけど、出会えない」
というような孤独もあれば、、、
「ひとは結局、1人で死んで行くしかない」
というような哲学的・実存的な孤独もあります。
そして、この映画で光に照らされているのは、、、
老いのプロセス、高齢者、そして認知症の方ならではの、
「孤独」ですね。
「老いのプロセス」ならではの、「孤独感」があるのです。
それを理解する手がかりの1つとして、
「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」佐藤眞一著 光文社新書も、
今日はご紹介したいと思います。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年には、
認知症の高齢者は約700万人になると推計されています。
そして85歳以上では、
55%が認知症となるとも言われます。
高齢者や認知症者が街に溢れる「少子超高齢多死社会」が、
もうすぐ数年先にやって来るのです。
そして、臨床死生学・老年行動学を研究されている佐藤眞一さんは、
「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」を、
まさにこの本で、
わかりやすく書いておられます。
認知症と言っても、本当に人それぞれであり、、、
また、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」
「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」と、
認知症のタイプによっても異なるでしょうが、、、、
おおむねこんな認知症の方ならではの苦しみが、あるようですーー
・自分が認知症だと知る苦しみ
・相手に合わせざるを得ない苦しみ
・人に見せたくない自分を見せてしまう苦しみ
(例えば、排泄介護や入浴介護で)
・趣味の活動や食事を楽しめない苦しみ
・運転したり、料理を作ったりできない苦しみ
・出かけても、帰れなくなる(帰り道がわからなくなる)苦しみ
・歯磨きや着替えなど(日常生活動作 ADL)をできなくなる苦しみ
・明日がどうなるか? わからない苦しみと不安
・(ホームや施設から)家に帰りたいのに、帰れない苦しみ
・自分がなぜここ(ホームや施設)にいるか? わからない苦しみ
・自分の言うことを誰もわかってくれない苦しみ
・認知症=”特別な人”として扱われる苦しみ
そして佐藤眞一さんは以下のようにも、
認知症の方々の孤独について、書いていますーー
「他者から頼りにされないし、日常会話もあまりない。
自分からコミュニケーション取るのも難しい。
もしも私(=著者の佐藤眞一さん)がこの状態であったとしたら、
とても孤独だろうと思います。私たちは、他者を完全には理解することができないという意味で、
誰もが孤独です。
それは仕方のないことではあります。しかし、誰もが孤独だから、
認知症の人も孤独でいいかといえば、
そうではないでしょう。自分から選んで孤独ではなく、
コミュニケーションがうまく取れないことによって、
認知症の人は孤独にならざるを得ないのです。
『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』p231から」
おそらく認知症の方だけでなく、
「老いのプロセス」にある人達は多かれ少なかれ、
これらの「孤独」や「苦しみ」に、
さらされているのではないでしょうか?
ひとが「老い」を自覚し始める入口、その時とはーー
「自分の話を聴いてくれる人が、周りに見当たらない」
「心の内を話したいのに、聴いてくれる相手がいない」
そうした淋しさや孤立感の自覚から始まる、
のではないでしょうか(涙)。
そして、これらの「孤独」や「苦しみ」をほどき・癒すのは何より、
高齢者や認知症の方々に語りかけ、
コミュニケートすることでしょう。
もしも、うまくコミュニケート出来ないとしても、、、
高齢者や認知症者に「まずは、関心を持つこと」。
そこから始まると、私はかんがえます。
若い方達、30代、20代、10代の方々にとっては、
「老いのプロセス」や認知症は遥か遠いこと、
かもしれません。
それでも関心を持ち、語りかけることから、
高齢者や認知症の方の「孤独」や「苦しみ」をほどき・癒すことは、
スタートするでしょう!
高齢者向け宅配弁当を、
毎日毎日3輪バイクで配達しながら、、、
お年寄りや認知症の方々と話をしながら、、、
(しかも、コミュニケーションが成り立たない場合も少なくない。汗)
私はそんなことを想っています。
映画「83歳のやさしいスパイ」
あなたのご感想、ご意見を気軽にお知らせ下さい
この記事へのあなたのご感想、ご意見を、私は心からお待ちしています。
どんなことでも良いですので、
フォームからぜひ気軽にお知らせ下さい。
あるいはEメールまたは電話で気軽にご連絡下さい。